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環境教育啓発

2023年度活動報告(2023年度4月〜2024年3月)

3-1) カンボジア国トボンクムン州における森林環境教育を目指した学校環境緑化の推進 (フェーズ 2, 3)

トボンクムン州では大規模なプランテーションに伴い1990年代に森林伐採が進み、生物多様性の宝庫であった混交林が減少しました。そこで本事業では、世代を越えて継続的に森林資源を保全していくことが不可欠となっているこの地域の子供たちを対象に、森林環境教育を目指した学校緑化活動を推進しています。フェーズ 2の活動では、2023年7月〜8月に植林したトボンクムン郡に位置する小学校8校およびポニャ・クラエク郡の小学校8校の合計16校を対象とした植栽木の生育管理に関するコンペティションを実施して、小学生や地域住民の自発的な保育作業を促しました。コンペティションでは、苗木の生存率のみならず、苗木の状態、保育管理への積極性などの評価基準を基に、各校における取り組みを総合的に評価しました。その結果、11校で保育作業への高い積極性が確認されたとともに、全校の平均生存率は80%以上と、優れた成果を得ることができました。フェーズ 1の調査結果からも、学校緑化における苗木の活着率は児童の環境意識や保育への参加度と高い相関があることが分かっています。フェーズ 2においても、活着率の高い小学校では高い意識を持った教員の下、食害対策やフェンスの設置、小学生を保育作業に巻き込む仕組み(役割分担等)の導入等で、効果的に保育にあたっていたことが分かりました。今後は、カウンターパートのトボンクムン州農林水産局と協力して、各植林地における追跡調査(生育状況調査、生存率調査)を実施します。また、州の教育局とも引き続き協力して、植林地の管理を小学校における環境教育の一環として位置づけ、小学生の樹木や自然に対する愛情と思いやりが一層育まれるように支援していきます。フェーズ 3では、地域への環境教育の更なる定着化を目指して、緑化活動のみならず、小学校教員を対象とした環境教育の実践者向けワークショップの開催や、小学校における苗木生産等を通じた人材育成を支援していきます。


森林環境教育を目指した学校環境緑化の推進(3-1)
(カンボジア国トボンクムン州)

3-2) カンボジア国シェムリアップ州における森林再生とESDの推進 (フェーズ 1)

シェムリアップ州の平野から丘陵地における森林減少の大きな要因は、1970年代の内戦以降の経済成長に伴う人口集中や観光地化です。最近の過去20年間で、2000年に存在していた森林の半数近くが農地に転換され消失しました。更に、州人口の8割近くの人々が自然資源に依存しつつ農山村に暮らしているものの、無計画な森林伐採や一時的な農地開発を目的とした火入れ等の開発行為によって、生活基盤を支える自然資源を失っている状況です。そこで本事業では、農地開発により急速に森林資源を失った地域を対象として、希少な在来種の苗木生産、アグロフォレストリーシステム下での植林、加えて地域住民を対象とした森林との共存を目指した「持続可能な開発のための教育(ESD: Education for Sustainable Development)」を推進しています。2024年1月から開始したフェーズ 1の活動では、カウンターパートのシェムリアップ州農林水産局や森林局とキックオフ会議を実施し、「炭素貯留と資源循環の促進に寄与する森林再生の在り方を追求し、気候変動へのレジリエンスを高めた持続可能な地域社会の構築に資する」ことを掲げた事業趣旨への認識を共有しました。2024年3月現在、植林地では測量、苗床や堆肥槽の設置、苗木用の種子の準備等が進められています。


植林地候補地における地形測量(3-2)
(カンボジア国シェムリアップ州)

3-3) 緑の国際ボランティア研修(カンボジア国)

カンボジア国では、2006年時点で国土の60%を覆っていた森林面積が、開発行為等によって2016年には45%に減少し、自然資源の枯渇や気候変動によって高まる自然災害のリスクに、人々の生活が脅かされています。国際緑化活動の重要性や「緑の募金」が果たす役割について研修員の理解を深めることを目指し、カンボジア国において2024年3月7日(現地着)から3月14日(現地発)に至る8日間、「緑の国際ボランティア研修」を実施しました。本研修では、NGOが取り組む植林活動地の視察、植林地管理活動の体験、森林の炭素貯留量を推定する森林資源調査等に取り組みました。また研修員は、@森林と農地との関連性、A森林の重要性に関する住民の理解、B自然環境に対する住民の関わり等のテーマの下で、3グループに分かれて各々が仮説を設定し、地域住民への聞き取り調査や現地大学生との意見交換を通して、仮説の検証を進めました。その過程で研修員はカンボジア国における森林管理の現状やその背景を学び、人と自然との共生の在り方や持続可能な開発について考察を深めました。研修の最後には研修成果発表会が開催され、研修内容の総括と仮説の検証結果とともに、持続可能な森林管理に向けた具体的な提案が発表され、議論を深めました。


研修員と現地大学生との意見交換(3-3)
(カンボジア国トボンクムン州)

3-4) 日本国内(本部)におけるESD 研修やインターンシップ

2023年9月に引き続き、2023年10月に環境修復保全機構本部にてESD研修を開催し、Sentinel-2衛星データや数値標高モデルデータをQGISにアップロードするとともに、NDVIの算出方法について研修しました。また、インターンシップでは10月1日にもグローバルフェスタ JAPAN 2023 に参加し、地球環境保全や国際協力における NGO の役割について学びました。

特定非営利活動法人環境修復保全機構(普及センター)が実施する普及プログラムは、つながる募金、株式会社スリーピラーズ、株式会社ファイブセンスグラフィックス等を通してご寄付頂いた方々をはじめ、日本国内のみならず世界各地における多くの市民の方々からのご支援に支えられています。
また2023年度、国際連合教育科学文化機関、カンボジア国農林水産省、カンボジア国環境省、カンボジア国教育省、日本国外務省、日本国文部科学省、独立行政法人環境再生保全機構、公益社団法人国土緑化推進機構、公益財団法人日中友好会館より、助成や受託を受けて実施しております。
ここに記して感謝申し上げます。

 

 

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