2023年度活動報告(2023年度4月〜2024年3月)
農地開発のための森林伐採により著しく森林面積が減少したコンポンチャム州では、気候変動に伴う洪水や干ばつが頻発しています。貧困が深刻な地域住民にとって、これら災害の緩和は重要な課題であり、森林面積の増大により、洪水や干ばつ等の緩和のみならず、地域住民の生計向上が期待されています。そこで本事業では、地域住民の生活に根付いている寺院や小学校において植林活動やワークショップを実施して、持続可能な森林管理の推進を目指しています。2023年9月にはフェーズ5のバッテイ地区の寺院において植林活動を実施しました。植林後は、植林管理グループがモニタリング活動を継続していますが、植林後すぐの大雨による洪水被害に遭ってしまったため、1月に実施したモニタリングでは苗木の生存率は5割という結果でした。今後、2024年6月に補植活動を実施する予定です。
植林樹木の生育状況に関するモニタリング調査(1-1)
(カンボジア国コンポンチャム州)
カンボジア東部では、現地住民が伝統的に薪炭材を収集し持続可能な範囲内で森林資源を利用していましたが、1970年代以降、経済的開発が優先され森林資源が収奪され続けています。そこでカンボジア国東部のクラチェ州とモンドルキリ州において、人と自然が共生できる里山の再生を目指して植林活動を展開しています。2023年8月にはフェーズ 3の事業地であるモンドルキリ州のコミュニティ保護地区およびクラチェ州の小学校において植林活動を実施し、コミュニティ保護地区では42名の住民が、クラチェ州のMeak Kandal小学校では65名の児童と教員が参加しました。12月のモニタリング活動ではコミュニティ保護地区における苗木の生存率は90%、小学校では95%と高く、植林管理グループによる徹底した保育活動を確認できました。今後、2024年6月に補植活動を含めたモニタリング活動を実施する予定です。
保護地区での里山再生を目指した植林活動(1-2)
(カンボジア国モンドルキリ州)
メコン河流域で都市域の近郊に位置するコンポンチャム州は、農業が社会的・経済的基盤となっており、大規模な農地やプランテーションに土地転換されてきた地域です。そこで本事業では、急速に森林減少が進む地域における環境修復を目指して、コンポンチャム州の全10郡を対象に植林活動とともにワークショップを実施し、森林保全の重要性について地域住民の理解を促しています。フェーズ3下半期の活動では、各郡で形成された森林管理住民グループを中心とした地域住民によって、州内全10郡の植林地(学校、寺院、道沿い等の共有地)で除草と潅水作業、生存率調査、補植活動等を実施しました。また、一部の地域では食害防止カバーの設置等の保育作業も実施されました。2021年から3ヵ年に渡り、コンポンチャム州の全10郡30カ所以上の共有地において、緑化推進と延べ1,500名以上の地域住民を対象に普及啓発活動を実施してきました。今後は、カウンターパートのコンポンチャム州農林水産局と協力して各植林地における生育状況や生存率に係る追跡調査を実施しつつ、地域住民の自立的な植林地の管理を支援していきます。
農山村域における環境修復を目指した植林事業(1-3)
(カンボジア国コンポンチャム州)